開業前~開業~アフターケアまで。
設計開発者から「医業経営コンサルティング」のプロへ
「もちろんお客さまに対して厳しい意見も言います。せっかく開業されたのに失敗しては意味がないですから」
聞くだけではきつい言葉も、榎崎さんのおだやかな笑顔が目の前にあると、それは頼もしいアドバイスとして心に響きます。
大阪・天満橋の「榎崎洋税理士事務所」の代表である榎崎洋さん。クリニックの開業支援から経営アドバイスなど医業経営コンサルティングを中心に請け負っていますが、実は20年前は大手メーカー設計開発者でした。転身のきっかけは、会社勤務時代に労働組合の数字を知るためにはじめた税理士の勉強。
「すごくやりがいを感じました。会社に勤務していましたが、独立したいという思いはずっと抱いてきた夢だったので『これでいこう!』と決めて会社を辞めてからは、日・祝日のみアルバイトして、あとはずっと税理士の受験勉強をしていた時期もありました」
大手会計事務所を経て、医療コンサルティング系会計事務所に就職。税理士資格を取得した後はそこで培った医業経営のスキルをもっと生かしたいと考え、2006年に現在の事務所を設立。
クリニックを開業する地域の周辺にある病医院数や患者数などをあらかじめ確認する診療圏調査から、開業後の経営アドバイス、税務相談はもちろんのこと、資産運用、相続対策、事業承継まで対応。また、榎崎さんは多くの税理士が登録しているTKC全国会会員。幅広いネットワークを生かして中小企業の税務相談や、融資先の情報も提供可能です。
「クリニックの開業は大きなお金が動きます。そのぶん増患に関すること、税金対策も必要で、どのような部分を補強すればよりよい病医院になるのかなど問題も多い。あらゆるお客さまの不安や問題を、一緒に解決していきたいですね」
そんな榎崎さんが注目しているのが「介護事業」。榎崎さん自身もホームヘルパー2級の資格取得者でもあるのです。
今後も求められる「介護事業」
すべての人にやってくる「老い」
介護事業には、榎崎さんも高い関心をもっています。
「色々クリアしなければならない問題はあるのですが、例えばビル1Fにクリニック、2Fにデイサービス、3Fに老人ホームを設立するということも可能なんです。私が資格を取ったのも、実際にお客さまが介護事業に進出されるときに、必要なら患者に対してどのように接してケアすればいいのかアドバイスできるからなんです」
ただし、事実を伝えるのも榎崎さんの仕事。
「実際、資格を取るために行われる実習も受講しましたが、介護現場の現実は本当に厳しい。私もかなりショックを受けましたから…。そんな経験をしたことも織り交ぜてお話しさせていただいた上で、お客さまの相談に応えたいと思っています」
今後は医療だけでなく、介護分野のニーズも高くなるのでは、と榎崎さん。
「団塊の世代の方たちが、時間の余裕ができたとき、身体のケアをされる機会が増えるので、介護事業はますます必要とされるのではないでしょうか」
経営向上のコツは「明るさ」と「人柄」!?
ここ数年、クリニックの開業希望者は減っているそうです。
「不況の影響と、ここ数年で変わった医療法の内容もあって数が減ってきているのは事実。でもそこはやりようだと思っています。例えば、患者の数が少ないのはなぜか?という理由も、調べてみると実は受付の対応が良くない、診察までの待ち時間が長いという根本的な部分での問題だったりするんです」
技術はもちろん必要。でもそれ以上に患者の目線を忘れないことが必要と榎崎さん。
「あとは…私のアドバイスを聞いていただけたら言うことはありません」
笑いながら、榎崎さんは続けます。
「しかし実際にお客さまと話してみて感じるのですが、明るくてアドバイスをきちんと受け止めてくださるお客さまは、やはり成功されている方が多いですよ」
わかりやすくユーモアを交えて話す榎崎さんを取材している私も、気づくと笑顔に。
実は榎崎さんの人柄が、お客さまの心を良い方向へと導いているのかもしれません。
(取材年月:2009年10月)