衣食住すべてにわたり、季節に合ったハーブの楽しみ方を
ガーデニングから料理、クラフトまで多様なハーブの活用法
ハーブスクール「ウィズハーブ葉子」は、高槻市の閑静な住宅街にあります。木製の手作りの看板を掲げたこの教室で、若林葉子さんはガーデニングからハーブティー、料理、クラフト、染色、コスメまで、ハーブを暮らしに取り入れて楽しむ多彩な活用法を指導しています。
玄関を入るとホワッと何とも言えないいい香りが漂ってきました。リラックス効果があるというカモミールティーです。ひと口含むと、ほんのりとした甘味が広がり、しかし後口はすっきりとさわやかで、くつろいだ気分になります。
「ジャーマン・カモミールにレモンバーム、ペパーミント、アニスシードをブレンドしています。ブレンドによってそれぞれの良さの相乗効果が生まれます。おいしく召し上がっていただくために一番大切なのは蒸らし時間。カモミールは普通より長めの4、5分間蒸らさないと本来の味が出ません。ハーブの種類によっては蒸らしすぎると渋みが出るものもあり、お出しする一番おいしいポイントは経験でしかつかめないんです」。ハーブ教室はたくさんあっても、「ハーブティーのテイスティングや香りの確認を厳密に行い、細かく蒸らし時間まで覚えさせる所は少ない」と、若林さんは自負します。
しかし、ヨーロッパで伝統的に行われてきた方法をそのまま取り入れると失敗することもあるようです。例えばドライの方法も、ヨーロッパでは束にしてぶら下げて乾燥させますが、湿度の高い日本では日数がかかり、香りや色が失せてしまうので、若林さんは葉を使うハーブなら葉だけちぎって、広げて乾燥させる方法を勧めます。また同じ日本国内でも、本などはたいてい関東を基準に書かれていますが、土質が違う関西ではうまくいかないこともあるとか。そんな失敗を重ねながら独自に編み出した方法も惜しみなく伝えてくれる「ウィズハーブ葉子」は、まさに関西の自然と風土に根ざしたハーブ教室といえるでしょう。
初級から上級、プロ養成まで5コース
教室は、基本となる「リラックスコース」が初級から上級までの3コース。「ハーブは暮らしの中に取り入れられてきた長い歴史があります。だから、衣食住すべてにわたって、季節に応じた活用法や楽しみ方を、初級から上級に向かって少し深さを付けながら進んでいきます」。ちなみに、初級コースは4月が「キッチンハーブの寄せ植え」、5月が「キッチンリース」、6月「ラベンダーと暮らす」、7月「夏のデオドラントハーブ」など。フレッシュ・ハーブの採れる季節には摘みたてを使ったお茶や料理を、フレッシュの少ない冬場にはドライ・ハーブでクラフトや染色を楽しんだり、お風呂で活用したり……という具合。
ほかに、プロ養成を目的とした「ハーブ講師養成コース」、「ハーブティー・ブレンダーコース」と計5つのコースがあります。各コースともレッスンは月1回。1レッスンは5、6人で、とてもアットホームな雰囲気。どんな教室か知りたいという人のために、1時間500円の「体験レッスン」もあります。
10周年になる2010年6月からは、単発の「リラックスハーブティーレッスン」と「ハーブクッキングレッスン・シーズン」を新設。さらに、約2年かかるプロコースを、学生やOLが短期集中で学べる「土曜集中コース」もJR京都駅近くの会場で開催する予定。
ハーブのブランド、カフェ……夢は次から次へと広がります
若林さんがハーブと出合ったのは15年ほど前。ハーブを紹介するテレビ番組でした。夫がひどいアトピーに悩んでいたこともあり、薬効のある植物について図書館で調べるうち、ヨーロッパではギリシャ神話の時代から薬草として使われ、料理のスパイスとして、スキンケアや生活を快適にする香りとして、母から娘へと伝えられてきたというハーブの歴史の奥深さに興味をそそられました。たまたま目にしたハーブ・コーディネイターの草分け的存在である谷口多恵子氏の教室に通うようになり、5年ほど谷口氏のもとで学んだ後、独立したそうです。
生徒3人でスタートし、5年目に教室として使いやすいよう家をリフォームしました。義父が作っていた裏庭の家庭菜園もハーブ・ガーデンに衣替えし、今は100種類ほどのハーブが育っています。
今後の抱負は「育った生徒さんたちの活躍のステージを作りだすこと」だそうです。ハーブを使ったドレッシングを手がけるなど、企業から商品開発を依頼される機会も増えてきました。ハーブティーのネット・ショップも始めています。
「協力して下さるスポンサーがあれば小さなハーブ・ガーデンのあるカフェみたいなものも開きたい。食をはじめとする生活全般にわたるハーブのブランド作りも」と、若林さんの夢は膨らみます。
(取材年月:2010年2月)