法的な解決だけでなく、トラブルを防ぐ役目も務めたい
FP資格を生かした「債務整理」「相続」を
JR阪和線と南海高野線の三国ヶ丘駅から徒歩約2分のところに、「吉田法務事務所」はあります。スタッフは、代表の吉田浩章さんを含めて司法書士が2人、事務関係の女性2人です。
業務内容は、主に「債務整理」「相続」を手がけ、支払いに困った個人の方や、相続に関する相談が多いそうです。ホームページやブログでも、法律やお金にまつわる情報発信を続けています。
債務整理、贈与、相続、遺言など個人を対象とした業務以外にも、会社設立・分割・合併などの仕事があり、個人と企業の業務の比率は7対3。堺市を中心に、大阪府内の全域に顧客が広がっています。
事務所の特徴は、どういった点でしょうか?
「債務整理で法的に解決したとしても、それだけでは問題の解決に至らない場合も。そういう時にはファイナンシャルプランナー(FP)の知識や経験を生かして、〈個人の家計の再建〉と〈同じことを繰り返されないように〉という観点からアドバイスします」
個人の債務整理で多いのは、住宅ローン、消費者金融、クレジット会社への返済ができなくなるケースです。「給料が減ったり、解雇で返済が滞ったり…ただ、元をただせば、収入に見合わないお金の使い方や、買い物が原因である場合もありますね」と分析します。
こんなケースがありました。住宅ローンの返済が滞った夫婦の場合、家計を見直すと、元々の住宅ローンの契約に無理があったり、高額な車のローン、携帯電話代、生命保険など節約できる出費があったりしました。無駄な出費の削減、生活の安定に向けた助言には、FPの視点が役に立つわけですが、「アドバイスをしても、ご本人になかなか気づいてもらえないのも悩みです」とも。
債務の問題のほかに、「相続・遺言」にも力を入れています。贈与税の配偶者控除を使って妻に不動産を贈与したり、生前贈与と並行して公正証書遺言を作成したりするケースもあります。一方では、相続人の一人が行方不明で、遺産分割協議が進まない案件もあり、「特に子供さんがいない方は、遺言書の活用を検討して下さい」と呼びかけています。相続、遺言の分野においても、「将来の相続のときに、家族間でもめないように」といったことや、依頼者のライフプラン、税金面も考慮した提案を心がけているそうです。
MP資格も取得、住宅ローンの仲介もできます
日本モーゲージプランナーズ協会のモーゲージプランナー(MP)の資格もお持ちですね?
「住宅ローンの仲介を依頼者と金融機関の間に入って、交渉することができるCMPという資格を持っています。今後、住宅ローンの返済を滞らせる人が増えてくるのではないか。そんな思いから、取得しました」
CMPの資格があれば、依頼者が求めている条件で契約できるように、金融機関と掛け合いができるわけです。住宅ローン商品にはいろいろなものがあります。その選択のアドバイスを通じて、「高額な住宅ローン契約がもとで、生活が破綻する人を減らしたい」と言います。
「売り主、買い主、金融機関との利害関係を持たない第三者の立場から、住宅ローンに詳しい専門家として、知識提供、契約書の内容確認やローンの選び方など、客観的なアドバイスを心がけたいですね。これまで、司法書士として、住宅ローンの登記手続きや、返済ができなくなった方の自己破産や個人再生など、法的整理のお手伝いをしてきましたが、発生した問題を解決するだけでなく、将来のトラブルを防止する役目も務めたい」と。仕事への姿勢が、この言葉にうかがえます。
企業の設立・分割・合併も手がけます
会社の設立、分割、合併も手がけ、堺市を中心に、大阪市、東大阪市、吹田市などに30社ほどの顧客がいます。「特定の業務に特化せず、依頼者のニーズに応えます」。これがモットーだそうです。
堺市で育ち、大学在学中に行政書士の資格を、卒業後には司法書士の資格を取得し、2か所の事務所で経験を積んだ後、2002年に「吉田法務事務所」を開設。2005年に日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定のAFP資格を取得し、CMP資格は2010年に取得しました。
司法書士を目指した理由は?
「16、17歳の頃に、家が相続でもめました。その時に、知識があったら家族がもめなくてすんだのに」。当時の経験が司法書士になりたいという思いを強くしたと言います。
「他人に雇われたり、拘束されたりするのが嫌でした」と、「独立心」の強さもあったようです。吉田さんの妻もFPとMP資格をもち、事務所で働いています。二人三脚で事務所を開き、着実にスタッフが増えてきました。
「高齢化社会を迎える中、FP資格も生かした相続と、MP資格による住宅ローンのコンサルタントを柱として、将来の事業展開をはかりたい」。こう夢を語るとき、吉田さんの目の輝きが増します。
(取材年月:2010年6月)