勉強を教えるのは当たり前。人間力向上こそが未来型教育
きめ細やかな両親へのフォローと、子どもの人生をトコトン考える、真摯さから生まれる信頼
兵庫県西宮市に株式会社「aim Leader’s Incubator」はあります。社名(エイム リーダーズ インキュベーター)は、24歳の若さで社長を務める大石倫太朗さんが、次世代のリーダーになるような人物を生み出したいという思いから名づけました。
主な業務は家庭教育コンサルティング。大石さんの人脈をもとに、「なるほど合格相談所」の名で、個性あふれる大学生スタッフを家庭教師として派遣、小学校高学年から高校3年生・浪人生に勉強を教えるとともに、人間力アップにも全力を尽くしています。
大石さんの子ども教育への思い入れは、大学時代にさかのぼります。「中学、高校では不良でした」と本人が語るように、停学3回、親呼び出し13回の学校のタイトルホルダーだったとか。当然、勉強もあまりせず、「192人中192番。ほんとにビリでした」とあっけらかんと話します。それが、高校卒業後思うところあって医師の道をめざし、文系3教科から猛然と理系の勉強を始めます。父親が事業の失敗によるストレスから病気になり、2浪目の12月に他界。その影響から、やむなく進路変更。神戸大学発達科学部に入り、経済的な事情から家庭教師を始め、たちまち人気講師に。全て口コミによるご紹介で、教えた生徒は112人にものぼります。
「高校のころまでは先生から“おまえが来るとトラブルになる”と言われ、存在を否定され続けましたが、ラグビーに生きがいを見いだして兵庫県代表にも選ばれました。勉強もゼロから必死でやって、国立大学に受かるレベルにまで向上。家庭教師はやむなく始めたアルバイトでしたが、そのうちこんな自分の生きざまを通じて、人に勇気を与えていきたいと考え、教育の仕事が天職と思えるようになりました」と熱く語ります。
親が変われば、子どもが変わる。「子ども教育検定」の実施へ
大学時代には京大、阪大、神大、関関同立の学生らを組織して学生団体「維新志士~輝(きらめき)~」を発足させて、世の中を良くしていくリーダーを育てることを目的に、イベントやセミナーを開くなど、幅広く活動しました。その人脈をフルに活用して、現在も「半端じゃない」人間力のある学生がスタッフとして集まってきます。
なるほど合格相談所では、対面による指導に加えて、メールによるていねいな指導報告、インターネットによるテレビ電話を駆使した勉強法のアドバイスなどが行われています。
学習指導は家庭教師が対面で行いますが、保護者に対しては大石さんから、勉強の進み具合や学習意欲の状況をメールにして、きめ細かく報告します。家庭では意外とつかみにくい子どもの勉強ぶりや様子がよく分かる、と好評です。また生徒本人にはテレビ電話で対面しながら勉強法や悩みなどについてアドバイス、不安を取り除き、やる気を盛り上げていきます。「夏休みの模擬試験でE判定の成績であった女子高校生が阪神間の私立大学に見事合格しましてね。お礼の手紙を送ってくれたときは、深いコミュニケーションから可能性を引き出す指導法が実を結んだ、と喜び合いました」と成果にほほを緩ませます。
いま実施に向け動き出しているのが「子ども教育検定」。親子関係、夫婦関係の悪さが子供の教育に悪影響を及ぼしているケースも多いため、大石さんは、それを見直すきっかけになればと、プロジェクトチームを組み、内容を検討しているそうです。
「都会と地方で教育機会の格差があってはならない」が持論。「インターネットや検定を活用して、親子の関係にななめの関係で入り込み、家庭の調和をはかっていきたいのです。学習能力のアップはもちろんですが、子供が人間的に成長し、自立して歩んでいけるよう、生き方も伝えたいのです」
未来を担う、熱いニューリーダーが日本には必要
社業のもう1本の柱は社会人教育。大石さんは21歳のころ「もっと家庭教師として指導力を上げたい」「人生とは何か」「正しさとは何か」といった問題に悩み、いろいろなセミナーや講演に出かけ、教えられることが多かったそうです。そこで出会った講師や先輩、仲間らによる各種のセミナーや講演を大石さんは企画・運営しています。会社の顧問やアドバイザー陣には、少年更生や起業家支援で知られる加藤秀視さん、接客販売の超プロの成田直人さん、日本を代表する人材教育コンサルタントの青木仁志アチーブメント社長ら有名人がいます。また、ビジネスマンに対する対面でのコーチングも行っているそうです。
「日本は毎年の自殺者が3万人を切らない憂うべき状態が続いています。社会問題を解決するのは人間力であり、人格教育によって熱いニューリーダーを育てたいのです」。
子ども教育と社会人教育。「教育業界の風雲児をめざします」と大石さんは起業家の初心を忘れず、2頭立ての馬車を進めるべく、情熱を燃やしています。
(取材年月:2010年2月)