福祉車両販売を通して、高齢者や障害者の移動に「快適さ」と「楽しさ」を提供したい
福祉車両のコンセプトは「21世紀の手足となる介護カー」
車いすを利用する高齢者や障害者などのいわゆる「交通弱者」の対応策は、これから「超高齢化社会」を迎えることが予測されていることもあって、まさに急務です。介護が必要な高齢者や障害者の移動手段の確保が重要視されています。西宮市にある株式会社リッツウエルキャブは福祉車両の中古車を販売している会社です。福祉車両を専門に取り扱っている会社は、全国的にも数えるほど。というのも福祉車両は、日本国内に存在する自動車の全車両台数(約7,500万台)の1%にも満たない40万台ほどしかないそうです。株式会社リッツウエルキャブでは、この貴重な福祉車両を「21世紀の手足となる介護カー」と位置付けています。
福祉車両の販売業務を担当する小野田隆さん。以前は病院に勤務し、海外担当として外国人患者への通訳や海外視察を行っていました。「アメリカや韓国を訪れると、車いす専用のバスが街を巡回していました。また、タイやフィリピンなどの東南アジアの国々では、街中の人々が車いす利用者にとても親切に対応していて感心したのを覚えています。このころから福祉の分野への関心が強まっていきました」
そんな小野田さんを福祉車両の仕事へと導く出来事が起こります。友人が脊椎(せきつい)を損傷し、寝たきりの状態となったそうです。「全身麻痺(まひ)になってしまったわけですが、ずっと病室で過ごしているのを見ると悲しくてね……。ある穏やかな春の日、福祉車両を利用して友人と桜を見に行くことにしました。久々のドライブを楽しんでくれたようで、満開の桜を目にした友人は、涙を流して感激してくれたのです。福祉車両の貢献度の高さを実感しました」。このことが小野田さんの心に大きな影響を与えました。今も「福祉車両を普及させたい」との思いを胸に秘(ひ)めています。
快適で楽しい福祉車両での移動の夢を、一人でも多くの高齢者や障害者に
リッツウエルキャブでは「スロープタイプ」「リフトタイプ」「シート移動タイプ」などのさまざまな種類の福祉車両を取り扱っています。生産台数が少ないことから中古車両のマーケットが小さいこともあって、一台一台を丁寧にメンテナンス。「中古の福祉車両であっても軽自動車なら20万キロメートル、普通自動車なら30万キロでも走ります」と、胸を張る小野田さん。「お客さまに納車させていただくときは、 “しっかり走ってくれよ”と自然に思いをこめてしまいます」と、大切に使われてきた福祉車両を次の家族の元に届けるまで、しっかりと整備・清掃をしています。
福祉車両を購入する人のほとんどが「親孝行」を理由に上げるそうです。小野田さんは、そんな温かい家族から送られるたくさんの感謝の言葉にやりがいを感じています。「福祉車両の利用目的は二つあります。一つは“病院に行くため”などの日常の移動手段として、もう一つは“外出して景色を眺(なが)めるため”などといった趣味の領域として。安全であることはもちろん、快適で楽しい移動を高齢者や障害者には提供したいと考えています」
福祉車両の選び方からアドバイスし、購入後は無料セミナーを開催して福祉車両の利用ポイントを説明。高齢者や障害者とその家族が抱く「自動車での快適な移動」という、一見ささやかながらも代えがたい夢の実現を小野田さんはサポートしています。
介護タクシーとしても需要が高まる福祉車両をもっと社会に普及させたい
最近では個人利用以外で、福祉車両を購入する人も増えているのだとか。現在、需要が高まっている介護タクシーを開業するためです。リッツウエルキャブでは福祉車両を介護タクシーとして使用するための営業車登録をサポート。行政書士と社会保険労務士のバックアップがあり、支援態勢は万全です。また、介護タクシーを始めるにあたって必要な第二種運転免許とホームヘルパー2級の資格取得を目指す研修も実施。小野田さんは介護タクシー開業のコンサルタント業務にも携わっています。
「福祉車両や介護タクシーは今後ますます社会的な必要性が高まっていくでしょう。主要自動車メーカーも今はまだ“カタログだけで展示車両がない”“価格が一般車両と比べて割高”“納車までの期間が平均2ヵ月以上かかる”などのウイークポイントもありますが、改善されていくと思います。いずれは、高齢者や障害者一人一人に合ったオーダーメードの福祉車両の登場が期待されます」
ほかにも「東南アジアを中心に日本製の福祉車両を輸出したい」「車いす自体を、もっと快適な座り心地が実感できるようにしたい」など、小野田さんは熱心に将来の展望を語ってくれました。
「一家に一台、福祉車両を!」。こんな時代がもうすぐやってくるかもしれません。「21世紀の手足となる介護カー」をコンセプトに掲げる小野田さんが、良質な福祉車両の提供を約束します。
(取材年月:2010年5月)