何でも相談できる身近な存在で、お客さまと二人三脚で進んでいきたい
父が働く姿を見て育ち、同じ道を歩んでいます
公認会計士といえば、試験は司法試験と並ぶ難関。それを突破した人だからと、少し身構えての訪問でしたが、江本さんは人なつっこい笑顔で迎えてくれました。事務所は地下鉄堺筋線・谷町線の南森町駅から堀川橋西詰すぐのビルの6階にあります。
江本さんは大学卒業後、公認会計士になるため、大手監査法人の大阪事務所に就職しました。というのも、父親が公認会計士だったからです。江本さんが中学2年生の時に亡くなりましたが、父親が大好きで、その背中を見て成長しただけに迷いはありませんでした。2004年に公認会計士登録。さらに独立するための準備として、監査法人系列の大手税理士法人の大阪事務所に転籍し、実務経験を経たうえで、2年後に税理士登録もしました。そして2009年9月、念願の独立を果たしました。
一般にはなじみの薄い公認会計士ですが、会社が作った財務諸表が適正かどうかの意見を述べる監査業務のほか、経理一般業務、会社の経営に関して立案・指導・助言などをするコンサルティング業務などが主な仕事です。監査法人に勤めていたころから、仕事の重要性は肌で感じていました。それは「会社を大きく、広く見渡しながらポイントを絞って見ること」です。実際は「足を使ったとても泥臭い」仕事だそうです。
起業家が仕事に打ち込める環境作りを
独立後は会社設立、起業家の支援に力を注ごうと決めていました。今年、経済産業省が後援する「ドリームゲート」のアドバイザー登録をしたのもそのためです。これも父親の影響が大きいと言います。「父が、開業したばかりのお客さまと、二人三脚で仕事をしているのを見てきました。休日も関係なく、『自分を必要としている人がいる限り、それに応えないといけない』と働いていました」。起業といっても簡単ではありません。設立してから10年後も存続している企業は、あまり多くはないそうです。厳しい現実があるからこそ、「起業家にも公認会計士・税理士によるバックアップは必要不可欠です。数字のプロとして、会計・税務のみならず、経営計画、事業計画、資金繰り計画などのアドバイスやサポートもできるからです」
事務所を開設して日はまだ浅いですが、適切なアドバイスが奏功したケースがあります。
知り合いから、「会社を設立したので決算を見てほしい」と頼まれました。会社は作ったばかりで赤字。3期目あたりから黒字になっても、それ以前の赤字と相殺できるはずで、当分、税金の心配は要らない、と依頼者は見込んでいたようです。しかし、依頼があったときは1期目の決算期を過ぎ、2期目に入っていました。税務署へ提出した書類を確認すると、法人設立届出書しかなく、欠損金を課税所得と相殺できる青色申告の承認申請書は出ていません。さらにタイミングも悪く、1、2期目と欠損金が出ても、その欠損金は繰り越すことができず、消滅してしまう状態でした。そこで1期目の決算を詳しく調べ直したところ、ほかの税法の制度を利用することで、欠損金の繰り越しと同じ程度の効果を得ることができたそうです。
「税法の制度は知っているかそうでないかで、税金の負担に大きな差が出てしまいます。本来、事業に注げるはずの資金が、納めなくてもよい税金に消えるのは事業にとってもマイナスですし、もったいないですよね」と強調します。
「この人がいるから安心」と思ってもらえる身近な存在でありたい
江本さんは業務に対する料金の一覧表をホームページで公開しています。かつては税理士報酬規定という基準があったのですが、今は国の「規制緩和」で、自由に設定できるようになりました。そこで、「自分が何かサービスを受けたいと考えたとき、目安がないと、不安でしょう。料金をはっきりした方が事務所に入って来てもらいやすいし、起業家の方にとっても、費用が分かることで経営プランが立てやすいと思います」と明快です。
「独立前からなのですが、会計・税務顧問がいる会社の方から相談を受けることが多いのです。皆さんよく言われるのが、『気軽に相談しにくいから…』とのこと。士業の業務は専門のノウハウを提供して、その対価としてお客さまから報酬を得るということを考えると、サービス業の一種です。お客さまから相談しにくいと思われるのは、同じ士業としては悲しいことです」と、プロ意識もしっかり持っています。
それだけに「気軽に何でも相談できる窓口・アドバイザーとして、お客さまの身近な存在でありたいと常に思っています。『この人がいるから、安心して自分の仕事に打ち込める』と思ってもらえるのが理想です」と意欲的です。
(取材年月:2010年5月)